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天体写真 (彗星)

シュワスマン・ワハマン第3彗星(73P)

シュワスマン・ワハマン第3彗星(73P)

2006年5月、彗星の核が多数に分裂した「73P/シュワスマン・ワハマン彗星」は細かい分裂核まで含めるとなんと40個近くにもなり、星図ソフトで全部の核を表示すると、うしかい〜こと座にかけて、ものすごいことになっていました。

とはいえ、分裂核のほとんどが15〜17等級と暗いため、「編隊飛行」の様子が見られたわけではありません。なので、撮影対象は明るい分裂核「B核」と「C核」の2つに絞られました。

<撮影日> 2006年5月5日〜5月12日

開設: 2019/04/24

最終更新:

手動で執念のガイド撮影

今回の撮影では、赤道儀に望遠鏡鏡筒とデジタル一眼レフカメラを同架して、望遠鏡で適当な恒星をガイド星として中倍率アイピース視野内に導入、露出時間の6分間手動で赤経微動ハンドルを慎重に回しつつ追尾した執念の「ガイド撮影」によって得られた作品です。

通常、ガイド撮影はモータードライブによる電動追尾で行いますが、私は(当時)モータードライブ(機械)が壊れており、手動追尾を余儀なくされたのです。全て手動のため、追尾精度はよくありません。5〜10秒おきに日周運動の移動分をハンドルを回して修正する為、星像が少しピンボケしたように写ってしまいました。

2006年5月12日 - 【手動ガイド撮影】1枚撮り!

並ぶシュワスマン・ワハマン彗星【B核とC核】

73P/シュワスマン・ワハマン彗星

撮影日時 : 2006年5月12日 01:38
撮影地 : 熊本県熊本市
カメラ : ニコン D70
露出時間 : 3分7秒
レンズF値 : F4.5
レンズの焦点距離 : Nikkor 18-70mm  46.00(mm)
赤道儀 : ビクセンGP赤道儀
撮影方法 : 手動追尾撮影 (ガイド鏡:ビクセン R200SS)
※Photoshop-E.にて画像処理: トリミング・レベル調整等

矢印の先それぞれに2つの分裂彗星が写っています。息を殺しながら微動ハンドルを慎重に回しての「手動追尾撮影」なので大きくブレやすいですが、この画像ではだいたい星が点に写ってくれました。

B核はデネブとベガの中間ぐらいにいました。C核はB核の向かって右下。ともに夏の大三角の中なので、(肉眼では見えないにも関わらず)簡単に写真に収めることができました。

なお、周辺減光で両核におけるバックグラウンドの明るさが大きく異なっていたため、Photoshopにて周辺減光補正してあります。左下の不自然な赤い発色はその影響です。

73P/SW3 B核(左)とC核(右)

73P/シュワスマン・ワハマン彗星

撮影日時 : 2006年5月12日 01:48(B核), 01:38(C核)
撮影地 : 熊本県熊本市
カメラ : ニコン D70
露出時間 : 67秒(B核), 187秒(C核)
レンズF値 : F4.5
レンズの焦点距離 : Nikkor 18-70 46mm(B核), 70.00(C核)
赤道儀 : ビクセンGP赤道儀
撮影方法 : 手動追尾撮影 (ガイド鏡:ビクセン R200SS)
※Photoshop-E.にて画像処理: 強トリミング・レベル調整等

同じ方向に尾を伸ばす分裂核に注目です。5月5日の写真ではC核のほうが明るかったのに、わずか1週間ですっかり立場が逆転してしまいましたね。B核は急にアウトバーストでも起こったのでしょうか? 見違えるほど明るくなっています。B核は空の暗いところでは肉眼でも楽で見えるでしょうね。

2006年5月12日、B核

SW3彗星の最盛期だというのに、当地・九州では入梅したかのように曇天・雨天が続いて悔しい思いをしていました。ですが、2006年5月12日の夜は天気予報が外れ、晴天に恵まれました。この時期特有の春霞もなく、最良の条件で彗星を撮影することができました。

5月12日午前1時〜2時台にかけて撮影した、73P/シュワスマン・ワハマン第3彗星のB核を長い露光ではっきり捉えた写真です。

2006年5月12日 - 【やはり手動ガイド撮影】B核をはっきり捉えた!

2006年5月12日のシュワスマン・ワハマン彗星【B核】

73P/シュワスマン・ワハマン彗星

撮影日時 : 2006年5月12日 02:02
撮影地 : 熊本県熊本市
カメラ : ニコン D70
露出時間 : 4分23秒
レンズF値 : F4.5
レンズの焦点距離 : Nikkor 18-70 70.00(mm)
赤道儀 : ビクセンGP赤道儀
撮影方法 : 手動追尾撮影 (ガイド鏡:ビクセン R200SS)
※Photoshop-E.にて画像処理: トリミング・レベル調整・ガウスぼかし等

この夜、B核はこと座のベガとはくちょう座のデネブの中間付近にいました。市街地の為肉眼では見えなかったのですが、驚くほど明るくなっています。もはや、彗星の本体だったC核以上の明るさです。

一方のC核はというと、発見できませんでした…。SW3彗星分裂核の中では、今やB核が最大級です。この写真では手動ガイドの為、星像がボケたように面積をもってしまいました。または、月を利用してオートフォーカスでピント合わせをしたので、ピンボケだったのかもしれません。このピントの甘さは手動追尾によるブレなのか、もともとピンボケだったのかはよく判りません。

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