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かんたん!デジカメ天体撮影

天体観測報告 PRO

ここでは、作者による天体観測の詳細な報告をしている。
なお、観測の対象となるジャンルは不問である。
食現象、流星群、惑星、彗星など、あらゆるジャンルを網羅している。

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2003年10月版

#015 巨大黒点群、出現中! Reported Date: 2003.10.28
観測データ   │ 観測地: 熊本県熊本市 │ 機材: 望遠鏡 R200SS / アイピース LV10mm / デジタルカメラ ニコン coolpix995 │


太陽面に現れた巨大黒点群 2003.10.27 09:50
ニコン Coolpix995/ビクセン R200SS/ビクセン LV10mm、白紙への投影
レベル補正/トリミング
露出:オート(1/658sec./f8.7)


黒点の見える太陽 2003.10.27 10:00-01
ニコン Coolpix995/Registaxにて17コマ スタッキング/ウェーブレット変換/トリミング
露出:オート(1/125sec./f5.1)/最大ズーム

珍しい肉眼黒点が、同時に2個も現れる

 2003年10月下旬、太陽にちょっとした異変が起きている。そう、地球の100倍もの大きさがあろうかという、巨大な「黒点」が出現したのだ。

 ご存知の通り、黒点とは太陽面上に現れる黒い斑点のことだ。なぜ黒く見えるのかというと、その答えは単純。黒点付近の温度が太陽の周囲の温度より低いためだ。私もよくは知らないが、光球面上の平均温度は数万度。対して、黒点付近の温度はわずか3,000〜4,000度程度しかないと言われる。黒点は、太陽活動の活発な時に多く発生する。太陽は11年周期で活動を活発化しており、2000年〜2001年にかけて太陽活動が極大期を迎えていた。我々の身近なところでも、「例年以上に紫外線が降り注ぐ」などとして報じられていたのでご存知の事だろう。そんな、極大期を過ぎて間もない、まだ活動が比較的活発な太陽面に、今回とても巨大な黒点が2つ現れたわけだ。

 左画像は、口径20cm反射に10mmアイピースを取り付け、白紙に投影した太陽像をデジカメで撮り、画像処理を加えたものだ。このため、若干画像全体が歪んでいる。画像中に見られるテカリは投影版の紙質によるものである。

 さて、画像左上の黒点群は2つの同規模の黒点が並び、その左下には小規模な黒点が3つ連なっている。共に、半暗部に包まれている。続いての右のほうの黒点群は一段と大きい。ややいびつな形をした大きな黒点が横に2つ並び、それらを取り囲むように、半暗部が広範囲にわたって広がっている。さらに、その周囲にも小規模な黒点がいくつも点在している。その左上にある縦に並んだ黒点は、よく見ると下のほうの黒点はダブルの黒点であることが判る。つまり、こちらは三連の黒点だ。

 こんなにもバリエーションに富んだ多数の黒点が同時に現れるのは非常に珍しい。1995年頃の活動極小期の太陽面では、黒点が一つも見えないという寂しい状態が続いたことから比較すると、現在の太陽面は大変賑やかである。また、これらの黒点群からフレアが観測されたとの情報もある。太陽の自転周期は25日なので、これらの巨大な黒点群はあと1週間近くは見え続けることになる。11月初旬までが観測のチャンスなので、ぜひとも追跡観測を行いたい次第だ。ただし、太陽に向けられた望遠鏡は、たちまち凶器へと化す。判っていることと思うが、絶対に減光フィルターを付けずに太陽を望遠鏡で見ることはしてはならない。失明の危険があるからだ。初心者は無理をせず、安全な投影方式で観察しよう。

 なお、これらの巨大な黒点群は、望遠鏡を使わずとも肉眼で見ることができるかもしれない。日食観察用の黒いプラスチック板(ススガラスでも可)を目に当てて太陽を見ると、左下画像のように真ん丸い太陽の中に黒い点があるのが見えるはずだ。普段、肉眼で見えるような黒点はなかなか現れないので、もし肉眼で黒点が見えれば、貴重な体験だ。


太陽面巨大黒点の最新画像はこちらに随時掲載中! 速報page




#016 9月9日、月・火星接近の画像処理 Reported Date: 2003.10.28
観測データ   │ 観測地: 熊本県熊本市 │ 機材: 望遠鏡 R200SS / アイピース LV10mm / デジタルカメラ ニコン coolpix995 │


合成画像による、月・火星の最接近 2003.09.09 22:44, 22:45
ニコン Coolpix995/ビクセン R200SS/ビクセン LV10mm
合成方法: Photoshop 比較(明)
露出: 1/125sec./f2.6


合成ではない、1枚撮りの月・火星の最接近 2003.09.09 20:28
ソニー Cybershot U/ビクセン R200SS/ビクセン LV10mm
露出: 1/30sec.

月と火星の最接近を合成画像で再現

 2003年9月9日夜、月と火星の大接近が見られた。言葉の表現が紛らわしいが、「地球に大接近している火星」が、「見かけ上、月に大接近」したのである。つまり、もっとも大きく見えている火星が月のすぐ傍にきて、月と火星を同時に見ることができた、という天体ショーであった。

 さて、詳細は天体観測報告digest(月・火星の接近)を参照していただきたいが、当日、当地では天気は不安定であり、雷雲に月が見え隠れしていた。そして、月・火星の最接近の頃は雲に覆われてcoolpix995での撮影はできなかったものの、超小型デジカメの手持ちコリメートで「ラフ撮影」はすることができた。そのラフ撮影で撮れた月・火星接近画像が、左下の画像である。しかし、薄雲を通しての撮影だし、何せ画質の良くないおもちゃデジカメの手持ち撮影である。露出アンダーなのをデジカメ内のソフトウェアで強制的にレベルをもち上げているので、非常にS/N比が悪い。このため、見て判るようにノイズだらけだし、火星の形や月面模様も不鮮明である。悪天候だったため、最接近の頃に運良くこのラフ画像を撮れただけでも満足だったのだが、悔しいことに月と火星が大分離れてきた22時半頃になって晴れてきた。その頃には、月と火星はもう同一視野内に入らず、月と火星を別々に撮ることになった。とはいえ、カメラの設定を同じにして月と火星を別々に撮ったもの同士を合成しても、実際の接近時と変わらない画像ができるはずだ。

 そんなわけで、最接近時に曇って撮れなかったのが悔しいので、月と火星を別々に撮った画像から、最接近の状態と同じような合成画像を作ることにした。もし月、火星が大きく離れていたり、拡大率が違ったり、月と火星の画像のそれぞれの露出値が異なっていたら、完全な「偽りの画像」となったはずだが、素材に用いた月と火星はまだ充分に距離が近く、「この程度ならばまだ再現性がある」と思ったので、同一撮影条件でそれぞれを撮ったものから合成してみた。

 それが、左上の画像である。月面のティコから伸びる光条も美しく、そして火星のほうも真ん丸く、わずかに南極冠の存在も判る。たしかにこれは合成写真なので、堂々と公開できるものではない。だが、限りなく再現性のある撮影条件だったので、この程度の合成もありとしよう。こうして、私の「9・9 月火星接近」の不満は解消したのだった。




2003年9月版

#013 天王星、初観測! Reported Date: 2003. 9.23
観測データ   │ 観測地: 熊本県熊本市 │ 機材: 望遠鏡 R200SS / アイピース LV10mm / デジタルカメラ ニコン coolpix995 │


天王星と火星 2003. 9.21 21:09-11
ニコン Coolpix995/3コマ コンポジット合成/トリミング
露出:30-39sec./f2.6/レベル補正

太陽系の彼方の天王星と、お隣の火星

 さて、この夏から秋にかけて、火星が大接近となり、人々の注目を集めた。8月27日が最接近日だったので、9月の現在では、徐々に地球から遠ざかってきている。また、強烈だった火星の輝きも、日を追うごとに暗くなっていく。 とはいえ、9月下旬の現在でも、まだ火星は−2等台を維持しており、まだまだ大接近といえる状態が続いている。

 そんな話題を振りまいた火星のすぐ傍に、太陽系のうんと彼方にある「天王星」が見えているのをご存知だろうか。左は、9月21日夜にデジカメで固定撮影した星野写真だが、眩いばかりの火星のすぐ上に、青緑色をした天王星が写っている。天王星がいかに暗いのかがお分かり頂けるだろう。

 天王星は太陽系第7惑星で、青緑色をしたガス惑星(木星型惑星)である。天王星の大きさ(直径)は、地球の約4倍。火星と比較すると、天王星は火星の約8倍も大きいことになる。

 撮影時における地球から火星までの距離は、6,272万km。一方、天王星までの距離は28億6,495万km。天王星は、火星までの距離の45倍も遠くにあるわけだ。天王星の1/8の大きさしかない火星のほうがうんと明るいのは、火星までの距離がうんと近いことによる。



天王星と火星(拡大) 2003. 9.21 20:58(天王星), 21:01(火星)
ニコン Coolpix995/ビクセンR200SS/LV10mm/トリミング
露出:1sec./f2.8

天王星初観測! 青緑色の円盤像を確認

 さて、天体観測歴11年の筆者は、なんと今まで天王星を一度も見たことがなかった。というより、”初物”にこだわるタイプなので、天王星を初めて見る時の感動をとっておこうと思い、天王星を敢えて見ぬまま何年も過ぎてしまったのだ。しかし、今夜(9/22夜)は、秋晴れで最高の透明度だ。暗い天王星を導入するには絶好のチャンスなので、「今日しかない!」と思い、天王星との初対面を果たすことを決心した。

 天王星を探すには火星から星を辿っていくと簡単に見つけられそうだったので、まずは火星を導入し、そこから星図を見ながら順番に星を辿っていった。そして、天王星があると思われる付近を10mmアイピース視野内に導入し、ちょっとだけ赤経・赤緯を動かしたところ、普通の恒星と違った星が入ってきた。「あっ! これ、恒星じゃない! 面積を持っている! …しかも、青緑色だ!」 私は、これが間違いなく天王星であることを確信した。

 確かに、天王星は非常に小さかった。水・金・火・木・土星の5大惑星なら、丸い形がはっきり判るのだが、さすがに天王星は距離が遠いので、限界まで倍率を上げてよくよく凝視して初めて、丸い形がなんとなく判る程度でしかなかったのだ。それでも、他の惑星にはない天王星独特の青緑色ははっきり判ったので、その青緑色の光が美しく、神秘的だった。

 せっかくなので、天王星と火星を望遠鏡で拡大して、全く同じ撮影条件で撮ってみた(左写真)。両惑星の見かけの大きさ、色、輝度の違いなどがよく判る。火星はオレンジ色、天王星は青緑色に輝いている。暗い天王星のほうに露出を合わせたので、火星のほうは完全に白飛びしてしまっている。比べて判るように、火星はこんなに明るいのだ。なお、天王星のほうは若干ピントがズレているために面積を持って写ってしまったが、ピントが合っていれば実際の天王星の形はもっと小さく、まん丸に写ったはずである。




#014 明け方の水星 2003 Reported Date: 2003. 9.23, 9.25
観測データ   │ 観測地: 熊本県熊本市 │ 機材: デジタルカメラ ニコン coolpix995 │


明け方の水星、木星、レグルス 2003. 9.22 05:13
ニコン Coolpix995/トリミング
露出:8sec./f2.6/レベル補正

今年最大の水星西方最大離角を前に

 水星は、ご存知の通り、太陽系第1惑星である。太陽のすぐ傍を88日周期で廻る、灼熱の星である(大気がないので、昼間は約400℃の灼熱地獄、夜間は-200℃近い極寒地獄)。月と同じく地表面は宇宙空間に剥き出し状態となっている。

 そんな水星は、常に太陽のすぐ近くにしか見えないため、日没後の夕焼けの中か、日の出前の朝焼けの中でしか見ることができない。空が真っ暗な夜間に水星が見えることは絶対にないのだ。水星を目にするチャンスは、東方又は西方最大離角の頃である。「最大離角」とは、太陽から最も離れた位置にくる時のことなので、太陽(つまり朝焼けや夕焼け)の影響を最も受けずにより暗い空の中で水星を見ることができる。

 今年の最高条件(一番地平高度が高くなる)の水星西方最大離角は、9月27日である。水星の公転運動は早いため、明けの東天で水星を見ることができるのは最大離角日を含むわずか10日程度の期間でしかない。

 そんなわけで、「そろそろ明けの水星が見え始めるかな」という9/22明け方。まだ水星は太陽に近いので、写らないかもしれないと思いつつも、デジカメで東の空を撮ってみた(左写真)。すると、ご覧の通り、くっきりと低空の水星が写ってくれた! 実は、この日(9/22)は非常に透明度が良く、普段空が淀んでいる熊本市内からでも山で見る星空のようにたくさんの星が見えていた。そのおかげで、地平線近くの低空でも大気による減光をあまり受けることなく、地平線から顔を出したばかりの水星もしっかり写ってくれたのである。この画像には、木星も一緒に写っている。木星は-1.7等、水星は0.6等。画面上部にある恒星、しし座のレグルスは1.4等である。

 今後、9/27に向け、水星はもっと高度を上げるので、木星共々、朝焼けのグラデーションと共に水星の輝きを収めていきたい。今後また固定撮影による水星の写真が撮れたら掲載しよう。と、それだけでなく望遠鏡で水星を拡大して見ることも忘れてはいけない。



月、水星、木星 2003. 9.25 05:18
ニコン Coolpix995/トリミング
露出:24sec./f2.6/レベル補正

9/25、細い月が水星に接近!

 上の画像を撮った3日後、9月25日の明け方に撮った水星の写真が左画像だ。

 上の画像(9/22撮影)には月は写っていないが、あれから3日経ったこの日(9/25)には、月齢28という非常に細い月が見かけ上、水星のすぐ傍までやってきている。水星の左側に写っているのが、月だ。月の光っていない部分(夜の部分)もうっすら写り、真ん丸く写っている。これは、月の夜の部分が地球からの光を反射してほんのりと輝いているためだ。月と水星が隣同士に並んで見えただけでなく、水星の上のほうには木星も見えており、「月・水星・木星」という3つの天体を1つの画像に写し込むことができた。水星と木星は点にしか写っていないが、望遠鏡で拡大して見ると木星は楕円形に、水星は膨らんだ三日月状に見ることができる。太陽系内での3天体の位置関係を想像しながら見ると、宇宙の奥行きを感じられるのではなかろうか。

 ちなみに、この画像に写っている天体を地球に近い順から辿ると、月が一番近く(37万km)、次いで水星(1億3,345万km)、最も遠いのは木星(9億3,808万km)である。




2003年7月版

#012 火星と天王星の動き Reported Date: 2003. 7.20
観測データ   │ 観測地: 熊本県熊本市 │ 機材: デジタルカメラ ニコン coolpix995 │


順行する火星と天王星 (動画GIF) 2003. 7.11, 7.16
ニコン Coolpix995/
画像処理:フォトショップ(減色16色)

5日でこれだけ動く

 15年ぶりに火星が地球に大接近するこの夏。空の話題は専ら火星で持ちきりである。8月27日の最接近までついに1ヵ月余りとなり、火星の光度もとうとう−2等級に達した!

 強烈に明るくなった現在(2003年7月)の火星は、天界の過疎地域「みずがめ座」にいる。周囲にはフォーマルハウトだけしか目立つ星がいないような寂しい領域で、気が狂ったかのようにひとり煌々と輝いている今夏の火星なのだ。

 そんな火星のすぐ近くには、太陽系の遥か彼方の天王星も見えている。実は天文歴11年の作者、なんと天王星を今まで一度も見ていない! これは、天王星を初めて見る感動をとっておこうとする私の「拘り」であり、今までの11年間、天王星を敢えて見ずに(見るのを我慢して)過ごしてきたのである。そんな、未だ見ぬ天王星を、初観測に先駆けて、初撮影に成功した。それが左画像である。火星と共に5日おきの画像を重ね合わせて、惑星の移動が判るように動画GIFにしてみた。デジカメの点状ノイズが多く、2枚目(16日の画像)には月明かりによるゴーストも入ってしまい、ちょっと見辛いが、恒星は動かないのに対し、円で囲った火星と天王星の部分だけ移動しているのが見て取れる。

 5.7等級の天王星と、-2.0等級の火星。その明るさの格差は、そのまま惑星の距離の違いとみていいだろう。もちろん、火星と天王星は公転周期が大きく違う。前者は約2年、後者は数十年という公転周期であり、まさに桁違いである。
 そんな火星と天王星の5日間の移動量をみてみよう。火星は大きく動いたのに対し、天王星はごくわずかに動いただけである。





#011 火星の写真 Reported Date: 2003. 7.14
観測データ   │ 観測地: 熊本県熊本市 │ 機材: デジタルカメラ ニコン coolpix995 │


火星と散在流星 2003. 7.11  02:38
ニコン Coolpix995/
露光:24秒/画像処理:フォトショップ

火星を撮ったら、流星が写った!

 さて、2003年も盛夏を迎えている。そして、ついに世紀の火星超大接近まで秒読み段階となった! まもなく視直径も20″角を突破し、明るさも−2等級台に達そうとしている! 俄然、今夏は火星で盛り上がっているわけだ。
 そんな、強烈に明るくなってきた現在(2003年7月)の火星が左写真だ。周囲の恒星と比べて、ダントツに明るく光り輝いている星が火星である。とはいえ、この写真では火星の輝きの強烈さや赤い色が判り難い。光条を出すフィルターなどを使わない限り、星の輝きを忠実に再現する事は難しいようだ。

 そんな、「星空の中での火星」を固定撮影にて露出中に、突然、流れ星が流れた! しかも、現在撮影している写野内ではないか。 私は、露出を60秒に満たぬまま切り上げ、すぐさま液晶ディスプレイで画像を確認してみた。すると、写野の右下ギリギリの所に、さっきの流星がしっかりと写っている! 固定撮影中に運良く流星が写り込むことは大変珍しく、天体固定撮影歴10年の私でも(流星群目的の場合を除き)初めてのことである。肉眼で見えた流星を形として残せた悦びは格別である。たしかに淡いけれども、大きな収穫であった。また、この画像では、流星の輝線が雲の後ろに隠れる様子が写り、流星の発光が雲よりも上であるという証拠を示す作品ともなった。




火星の画像処理4作例 2003. 7.11 02h
ニコン Coolpix995/ビクセンR200SS/LV5
露光:1/15,1/30秒/画像処理:フォトショップ

コンポジット合成&アンシャープマスクで表面模様を浮かび上がらせる

 火星を望遠鏡で拡大して撮った写真が、左画像である。俗に言うデジカメコリメート法により、拡大した火星の姿を撮影したものである。とはいえ、私の場合、お金が無いのでデジカメアダプターは使用していない。あくまでもカメラを手持ちで構え、ブレぬように息を潜めつつシャッターを切ったものだ。ピント合わせもうまくいかず、なかなかシャープな火星像を得られなかったが、コンポジット合成(スタッキング)処理を行うことで、アンシャープマスク・レベル補正の力を発揮させ、火星の黒い表面模様や南極冠を描出する事に成功した。

 左画像は、火星の画像処理結果である。手持ちコリメートという悪条件の中、ブレの少なかった5〜6枚の画像を素材として選んだ。まず、2〜3枚コンポジット合成した上で、表面模様がはっきり判るようにレベル補正を加えた。さらに、アンシャープマスクを半径値を大きめに設定して、表面模様・極冠の存在を強調させた。火星の色がやや不自然に感じられるが、これはカメラのホワイトバランス設定の問題もあるだろうし、レベル補正の処理で階調を狭めすぎたことも影響していると思われる。

 画像処理なしの火星と比べて、各々の処理画像はどうだろう。過処理により、ノイズが目立ってしまい、寧ろ処理なしの火星のほうが自然に見えるような気さえする。やはり画像処理のやり過ぎにも気を付けたいものである。

 火星のコリメート撮影については、今後、デジカメ接続アダプタの購入を考えており、また高倍率アイピースも購入予定なので、火星大接近となる来月の報告では、今回ご紹介した以上のシャープ且つ鮮明な火星の画像をお届けできることをお約束したい。




2003年5月版

#010 白昼 金星食 Reported Date: 2003. 5.29
観測データ   │ 観測地: 熊本県熊本市 │ 機材: デジタルカメラ ニコン coolpix995 │


月・金星・水星 2003. 5.29  04:37-38
ニコン Coolpix995/
露光:1/4秒,1秒の2pic 明るい方合成/画像処理:フォトショップ

昼間の金星が見つけられず、観測失敗

 さて、惑星食の中でも最も派手なのは「金星食」であるのは言うまでもないだろう。なにせ、金星は−3等〜−4等級という強烈な明るさだからだ。
 そんな、一番派手で見応えのある「金星食」は、滅多に起こらない。前回の現象は1989年であったらしいが、当時私は天文デビュー前であり、この年の「夜間金星食」は起きた事すら知らなかった。
 そんなわけで、史上初めての金星食観測チャンスとなった、2003年5月29日の今回の金星食。とはいえ、残念ながら太陽がさんさんと降り注ぐ昼間の現象であり、月と金星は青空に埋もれて見つけることは困難だった。私は金星潜入の30分ほど前から双眼鏡で必死で青空の中を捜索し、金星の点光源を見つけようとしたが、見つからなかった。望遠鏡は極軸も合わせられず、自動導入で月・金星を導入する事も出来なかったため、せっかく好天に恵まれたのに、潜入・出現ともに金星食を見る事ができなかったのである。残念だ。次回の金星食では見やすい夜間の現象としてぜひ観測・撮影に成功したい。
 なお、金星食当日の朝に、月・金星の接近を撮る事ができた。それが左画像である。この月が9時間後に左下の金星を隠したわけだ。なお、月の下には暗いながらも水星も写っている(写真のアンテナの近く)。月・金星・水星の3天体集合の写真となった。




2003年1月版

#008 工藤・藤川彗星 (C/2002 X5) Reported Date: 2003. 1. 7
観測データ   │ 観測地: 熊本県阿蘇郡久木野村 │ 機材: デジタルカメラ ニコン coolpix995 │


2003. 1. 2  06:10-14
ニコン Coolpix995/
露光:27秒,45秒の2pic コンポジット合成/画像処理:フォトショップ(レベル補正等)

夜明け前の工藤・藤川彗星を初検出!

 さて、新たな年が幕を開け、年号は2003年に変わった。嵐のように過ぎ去った2年間のしし座流星雨は古き良き思い出である。

 2003年1月2日未明、今年初の遠征天体撮影に出向いた。冬の阿蘇の夜はひたすら寒い。−5℃はあろうかという寒さの中での天体観測は俄然、気が引き締まってくる。

 今回の遠征の目的は、先月12月に突然「肉眼彗星」の報が入ってきた、話題のC/2002 X5工藤・藤川彗星である。しかし、この彗星は夜明け前の東天低くでしか見られず、撮影するためには夜明け直前を狙うしかない。

 1月2日未明にデジカメで数十秒間露光した2枚の画像をコンポジット合成したのが左の画像である。円の中央に見える青っぽいものがC/2002 X5工藤・藤川彗星だ。なお、恒星が描く線は、彗星追尾のためのものではなく、日周運動による線だ。つまり、この画像は恒星時追尾も彗星追尾も行っていない、完全ノーガイド三脚撮影で得られた画像なのだ。こんな簡単な撮影方法でも、夜明け直前の低空という悪条件にも関わらず、青緑色をした星雲状の天体を写しこむ事ができた。とはいえ、この頃の彗星の光度はまだ5〜6等級である。4等ほどまで明るくなる最盛期はまだまだ先(1月下旬頃)なので、今回の画像は「一応撮れた」という報告までに掲載しておいた。今後、彗星が明るくなったらまた随時、画像を掲載しよう。



#009 今月のトワイライト・コレクション 2003年1月版 Reported Date: 2003. 1. 7
夕方・明け方の薄明の空を狙った、惑星ランデブー等の星景写真を一挙公開

金星と火星の(見かけ上の)接近


MIDI 2002.12.28  06:31
ニコン Coolpix995/
露光:4秒/画像処理:フォトショップ(レベル補正等)

2002年12月28日 (熊本県上益城郡益城町にて)

 さて、2002年12月から2003年1月にかけての夜明け前の東天では、金星と火星の見かけ上の接近が繰り広げられている。毎日夜明け前に野外で仕事をしている私にとっては、毎朝勤務中に金星と火星が並ぶ様子に目を奪われている。

 左画像は、2002年12月28日に撮った金星と火星の見かけでの接近の様子である。朝焼けのグラデュエーションをバックに冬の枯れ木が立ち並び、なかなか美しい星景写真となった。明るい星が金星、その右隣で輝く星が火星である。

 火星は今年の8月に地球に超・大接近するが、この頃の火星はまだ地球との距離もうんと遠く、金星と比べても判るように1等級の暗さでしかない。このため、そう大して見栄えのするランデブーではなかったが、12月から1月にかけての両惑星は寄り添うように動いていったおかげで、長期間金星・火星のランデブーを楽しむ事ができた。

2003. 1. 2  06:28
ニコン Coolpix995/
露光:4秒/画像処理:フォトショップ(レベル補正等)

2003年1月2日 (熊本県阿蘇郡久木野村にて)

 さて、上の写真を撮った5日後、2003年1月2日の金星と火星の様子が左画像だ。ズームは広角端側に固定しているので、上の画像と比べて金星と火星の間隔が若干開いたのが判るだろう。阿蘇外輪山の山から撮ったものなので、朝焼けのグラデュエーションは平地よりも階調豊かに表現されている。

 金星と火星が輝く下のほうには、さそり座も写っている。解像度を低くしているために星の明るさが判りにくいが、この画像の火星とアンタレスの明るさに注目していただきたい。「火星の敵」と呼ばれるアンタレスより、火星のほうが若干暗いのだ。火星VSアンタレスの「赤い輝き勝負」は、この時点ではアンタレスのほうが優勢なわけだ。この今は弱々しい火星の輝きが、あと半年も経って今年の8月になれば、もう計り知れないほど強烈になるわけで、木星の明るさを凌いでしまう。そんな「超大接近」な火星の輝きが今のうちから楽しみだ。

 なお、筆者本人と思しき”余計な人物”が入り込んでしまっている。構図に人間一人分の余裕があったため、つい筆者も入り込んでしまった。大変申し訳ない。




2002年10月版

#007 はくちょう座 Reported Date: 2002.10.28
観測データMIDI   │ 観測地: 熊本県阿蘇郡久木野村 │ 機材: Canon A-1 (50mm) │


2002.10.26  20:43
Canon A-1 (50mm)/ビクセン GP赤道儀にて恒星時追尾/
露光:11分/f1.4開放/画像処理:フォトショップ

はくちょう座付近の天の川銀河を撮影!!

 2002年10月26日、熊本県の久木野村において、見事なはくちょう座付近の銀河の写真を撮る事に成功したので、ご紹介しよう。

 左写真が、一眼レフカメラで撮影したはくちょう座付近である。カメラを赤道儀に載せて恒星時追尾し、11分間の露出で撮影した写真だ。赤道儀による追尾撮影は初めてだったので、びっしりと星が写ったのには驚いた。しかも、ご覧の通り天の川(銀河)もくっきり写っている! この写真は私の天体写真史上最高の作品となり、今は満足に浸っているところだ。

 さて、画面の中央から右上よりの位置に見える青白い明るい星が1等星・デネブである。そのデネブの上に赤っぽい星雲が写っているのが判るだろうか。これが有名な「北アメリカ星雲」だ。北アメリカ大陸のような形をしている星雲なのだが、ちょっと判り辛い。画面中央から左下にかけて写っているのは天の川だ。まさに無数の星が犇いており、見事である。天の川の縁のほうには暗黒帯が入り組んでいるのも判る。



#006 明方の水星と火星 Reported Date: 2002.10.28
観測データ   │ 観測地: 熊本県熊本市 │ 機材: デジタルカメラ ニコン coolpix995 │


2002.10.11
ニコンCoolpix995/露光:4秒/画像処理:フォトショップ

今年一番の水星の見頃を狙って

 太陽系で最も内側を廻る惑星、水星。太陽のすぐ近くをわずか88日周期で廻っている(ちなみに地球は365日周期)。そんなわけで、水星はいつも太陽のすぐ近くにしか見えないのだ。空が真っ暗な夜に水星が見えることは絶対にありえないのは言わずと知れたことだ。

 そんな、見ることが難しい水星だが、2002年10月13日に今年一番の西方最大離角を迎えた。つまり、太陽との離角が大きく、明方の空で今年一番見やすくなったわけである。その上、水星と火星が接近して見えていた。ちなみに火星は2003年8月の「大接近」の1年前であり、現在最も暗い状態(1等級後半)である。

 そんな水星と火星の珍しい接近を10月11日明け方、デジカメで撮る事に成功した(左画像)。下が水星、上が火星である。水星のほうが明るいのが印象的だ。実際の星の大きさは火星のほうが大きいのだが、距離が違うのだ。火星は、水星までの距離の2倍も遠くにいるわけである。水星と火星の遠近感を感じながら見てみよう。
2002年9月版

#005 月・木星・M44の接近
観測データ   │ 観測地: 熊本県熊本市 │ 機材: デジタルカメラニコン coolpix995 │


2002. 9. 5 04:49
ニコンCoolpix995/露光:24秒/画像処理:フォトショップ

9月5日、月と木星とM44が集合

 木星は、ご存知の通り公転周期が11年である。よって、黄道上で同じ位置に戻ってくるのも11年周期である。ところで、黄道が通っていて惑星の通り道となっている星雲・星団はいくつご存知だろうか。ヒアデス、スバル、M1など、おうし座内の星雲・星団ばかり思い浮かべるが、かに座のM44・プレセペ星団もよく惑星が通る。作者は以前、火星がM44の中に入り込んでいるのも見たことがある。

 そんなわけで、よく外惑星が「紛れ込む」ことの多いプレセペ星団だが、2002年9月には木星が入り込んだ。というより「寄り添う」感じだろうか。M44はかに座の正方形の中にあるので、なぜかしら「囲まれて護られている」ように見えてしまう。そんな箱の中のM44の中に、堂々と巨光を放つ木星が入っていると、その光景はさながら、「4人の守衛を突破してM44に襲撃しようとしている木星」と想像できて、なかなか面白い。

 そんなM44と木星の接近に加え、この日は細い月まで接近した。よって、デジカメで月と惑星と散開星団の集合という、豪華競演をとらえることができた。なお、左画像の月は、明るいために地球照部分も白飛びしてまん丸に写っているが、実際には三日月のような形をしているのである。

2002. 9. 5  05:25
ニコンCoolpix995/露光:1/15秒/画像処理:フォトショップ

薄明時に撮った月と木星

 上の写真を撮った1時間後、青くなり始めた薄明の空で月と木星を狙ってみた。もうM44は写っていないが、木星と地球照を伴った月の接近が美しい。ほんのり色付いた筋雲も華を添えた。



2002年7月版

#004 月・金星の接近
観測データ   │ 観測地: 熊本県熊本市 │ 機材: デジタルカメラニコン coolpix995 │


2002. 7.13  20:13
ニコンCoolpix995/露光:1秒/画像処理:フォトショップ

7月13日、月と金星が接近

 2002年7月13日夕方、月齢3の三日月と宵の明星・金星とが接近し、並んで見えていた。

 この頃の金星は、翌8月に東方最大離角を控え、最盛期を迎えていた頃である。最も高度が高く、多くの帰宅途中の社会人らの目を引いた事だろう。2002年夏に最盛期を迎えた宵の明星は、金星の公転軌道の地平線に対する角度が小さかったため、東方最大離角前に最高の高度となった。したがって、この頃(7/13)の金星が一番高度が高かったわけである。

 そんな最盛期の金星と三日月のランデブーの光景は、いうまでもなく華々しい光景だ。左画像を撮像した当日は、透明度も高い上に雲と夕焼けが華を添え、いい星景写真が撮れた。




2002年6月版

#003 部分日食 / 金星・木星の接近 Reported Date: 2002. 7. 3
観測データ天体観測   │ 観測地: 熊本県熊本市 │ 機材: デジタルカメラニコン coolpix995 │


2002. 6. 3  20:10
ニコンCoolpix995/露光:4秒/画像処理:フォトショップ

6月3日、金星と木星が最接近

 2002年5月、太陽系の5大惑星集合が西空で繰り広げられていたので、ここ最近は何かと賑やかだった日没後の西空。その最後の華となる、金星と木星の接近が6月3日に見られた。

 何せ、全天で明るさがベスト1の金星と、ベスト2の木星が接近するのだから、人の目を引く華々しい光景である事は言うまでもない。寄り添った2惑星の輝きは、都会の街中でも容易に見えたことだろう。

 そんなわけで、光害が酷い熊本県熊本市の自宅からでも、金星と木星の接近はデジカメで簡単に写った。4秒露出をかけたわけだが、これ以上長く露出をかけると光害の影響で完全に真っ白な画像になってしまうので、当地の光害は困ったものである。

2002. 6.11
ニコンCoolpix995/画像処理:フォトショップ

雲間との闘い──6・11 部分日食

 全国で見られるものとしては、実に5年ぶりとなった、今回の部分日食。天気は、ご覧の通り、小雨までパラつく最悪の空模様であった。平日の朝の日食というわけで、登校する子供達が傘を差していたのは、日食が見られない空しさを演出していた。

 今回の日食は自宅ベランダからの観測をするつもりでいた。日食を捉えるための望遠鏡もスタンバイしていたのに、雨まで降り出したのだから、渋々望遠鏡を片付けるハメになってしまった。そんなわけで、日食観測は半ば諦めていたのだが、AM07:58とAM08:06の2回にわたって、太陽が雲の薄い部分から一瞬、顔を覗かせた!その瞬間に、デジカメのズーミングで見事、日食の撮影に成功したのである。 食の進行は終盤に差し掛かっていたため、食分は小さいが、太陽がぽっかりと欠けた姿が判る。薄雲を通して撮った日食もまた、妙にリアリティを感じる作品となった。



2002年5月版

#002 4惑星集合(水・金・土・火星)を撮影 Reported Date: 2002. 5.23
観測データFLASH   │ 観測地: 熊本県西原村 │ 機材: デジタルカメラ ニコン coolpix995 │ 透明度: 良好


2002. 4.26  19:42
ニコンCoolpix995/露光:8秒/画像処理:フォトショップ(レベル補正等)

「直列」した内惑星&火星・土星をデジカメで

 2002年4月から5月にかけて、太陽系の5大惑星が西空で集合するという大変珍しい光景が繰り広げられた。この滅多にない「惑星集合」の光景をぜひとも写真に撮るべく、好天に恵まれた2002年4月26日、郊外へと足を運んだ。山まで遠征するつもりでいたのだが、夕方に畑作業をしているうちに日が暮れたので、仕方なくその場で惑星の撮影を行った。そこは充分空気のきれいな郊外であったため、平野部だったが、西空低い水星もしっかりと写ってくれた。

2002. 4.26  20:13
ニコンCoolpix995/露光:4秒/画像処理:フォトショップ

水星は沈んだけれど…

 上の写真を撮った後、そのまま山へ行き、今度は薄明が終わりかけた暗い空のもとで惑星たちを撮ってみた。上から順に、土星・火星・金星が写っている(火星の左隣には1等星「アルデバラン」)。上の写真から30分経ったため、もう水星は地平線の下に沈んでしまっている。夜景と一緒に見る惑星集合もまた美しいものであった。なお、木星はかなり上のほうにいたので、一枚の写真には入りきれなかった。

 今回の「5惑星集合」は、5月上旬〜中旬にもっとも惑星同士が近づき、見頃を迎えるはずだった。だが、あいにく当地では梅雨入りを思わせるかのような異常なまでの雨天・曇天の連続で、5惑星集合の最盛期はとうとう1日も晴れることなく過ぎ去ってしまった。よって、惑星集合の写真も4/26に一度撮ったきりである。金・火・土星の「トライアングル」、金・火星同士の「超大接近」など、珍しい惑星配置を見るチャンスを逃してしまって残念である。




2002年4月版
当ページはBUMP OF CHICKEN天体観測 MIDIのダウンロード並びにFLASH他それに関連するコンテンツは一切含みません
#001 C/2002 C1(池谷・張彗星)を捉える。 Reported Date: 2002. 4. 6
観測データMIDI   │ 観測地: 熊本県西原村 │ 機材: デジタルカメラ │ 透明度: 良好


ニコンCoolpix995/露光:33秒/画像処理:フォトショップ/拡大部レベル補正

西空低空の彗星をデジカメで

 2002年3月19日に近日点を通過した、C/2002 C1。日没後の西空で素晴らしい姿を見せ、光度も3等級台にまで達したようだ。俄然、大彗星へと成長を遂げた、池谷・張彗星は見ずにいられまい。
 だが、残念な事に、当地では連日「黄砂現象」に見舞われ、晴天が続くものの、日没後の西空低空はいつもどす黒く濁っており、低空の池谷・張彗星はどんな機材を駆使しても導入できる状態ではなかった。そんなわけで、黄砂現象のない日を待ち続けた私だ。
 そして、ついに黄砂のない日に巡り会えた。2002年4月4日夕方、クリアな空での彗星観測を果たすため、山へと遠征した。ここは透明度も一段と高く、到着してしばらくして日が沈むと、地平線近くは格段に美しい夕焼けが見られた。現れ始めたばかりの宵の明星もひときわ明るい。夜景も美しい。そんな中で、西空低空の池谷・張彗星を見つけるために薄明終了を待ち、ついに19:42、デジカメ33秒露光で彗星像を写しこむ事が出来た! 左写真がその撮影した画像(と部分拡大)だが、見て判るように低空部には雲が立ち込めていて、なかなかはっきりした彗星像を捉える事は出来なかった。尾を引いた天体の姿が辛うじて判る程度でしかないことは残念だ。

ニコンCoolpix995/露光:24秒/画像処理:フォトショップ

地球が半回転した、翌朝の東空低空でも…

 さて、上で紹介した山への遠征観測から半日経った4月5日明け方。今度は、夜明け直前の東の低空での池谷・張彗星の撮像にチャレンジした。地球が半回転して、カシオペアが逆さまになっている様子が、「地球が回っているんだな」と感じさせよう。
 とはいえ、肝心の池谷・張彗星は、露光をかけすぎたせいで、画像のハイライト部分に飲み込まれて写らなかった。矢印で示したあたりに見えているはずである。
 今回はしっかりと彗星像を写しこむ事は出来なかったが、この4月はどんどん明けの東天での高度が高くなるので、近いうちに明け方の池谷・張彗星の撮影に再挑戦したいところだ。次回はズーミングして尾を伸ばした立派な彗星像を写しこみたい構えだ。




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